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2010/04/23


銀色に輝いた空


銀時、拾われる前。戦場にて



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色の存在をいまだ知らず・・・






鴉の鳴き声が響く中、夕日が赤く世界を染めていく。
紅く、赤く、アカク・・・・
その中を子供が1人で歩いていた。
手に持っているのはこびり付いた血で変色した刀。幼い子供が持つには不似合いのものだった。
かちゃかちゃと子供が歩くたびに小さな音が鳴る。
ふと、子供は歩みを止めた。
下を向いていた顔がゆっくりと上がる。
そして地平線に視線を向けた。
夕日が落ちていく。
1日の最後の光が子供を照らし出す。
何度か瞬きをして、子供はゆっくりと持っていた刀を鞘から取り出した。
ぎちぎちと歪な音を立てて白刃の切っ先が鞘から出る。
子供は切っ先を上にして刀身を見た。


カァー


カァー


カァー


鴉の鳴き声が響く。


夕日の光を弾き返すこともない錆が浮き始めた刀身が最後の斜陽を浴びる。
そんな中で、微かに、本当に微かに、夕日の赤の合間から刀身が銀色に光った。
それを見て、子供はゆっくりと刀を鞘に戻した。
安心したようにわずかに表情が緩んだのは赤に染まった世界に他の色を見出したからかもしれない。
立ち止まっていた子供は刀を抱えて歩み始めた。
沈んでいく太陽とは逆の方向。

夜の帳が訪れようとしている方向に。

1人で歩いていった。




カァー


  カァー


    ・・・カァー



そして、やがて鴉も鳴き止んだ。

 

 

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