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2010/07/15


06.戦友

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大きな冷蔵庫の前に陣取っている土方を見つけたのはたまたまだった。
はて?腹でもすいたのだろうか?と思いながら背後に近づく。
気配はけしていなかったが土方は俺の接近に気付いていないようだった。
珍しい。
黒い背中からひょいっと開け放されたままになっている冷蔵庫をのぞく。
別におかしなものは入っていない。
ただ、激辛七味や一味、そして激辛せんべいといった激辛製品が多いのが目につくだけだ。(激辛製品は先日、沖田君の姉ーミツバが段ボールに詰めて送ってきたものだ。いったい何年分だろうか?と思うほどの量だが送った本人からすれば一月ほどの量なのだろう。恐ろしいことに。)
ひんやりとした冷蔵庫の冷気が流れてくる。
あいかわらず土方は俺に気付いていない。
声でも掛けるかと思って口を開いたところで土方がぼそりとこの世の終わりのような声を出した。
「マヨネーズがねェ。」
「・・・・・・・・・・・」
とりあえず俺は無言で土方の背中を蹴った。
「っ!!てめー!!なにしやがるっ!!」
「マヨネーズがないぐらいで絶望感溢れる声を出してるんじゃねェ!!」
「うるせー!!俺はマヨネーズがないと生きていけねェんだ!!」
「だったら死ねよ。今すぐ死ね!!100円あげるから腹を切れ!沖田君呼んできてやるからっ!!」
「バカかてめー!!100円で死ぬかっ!!第一なァー俺にとってマヨネーズは戦友と書いて『とも』と読みます。」
「だったら今度からマヨネーズ背負って御用改め行ってこいやァアア~!!」
俺は土方に飛び蹴りを放った。
土方を冷蔵庫から引き離し、扉を閉める。
無駄な労力を使ってしまった。アホらし過ぎて涙まで出そうだ。
前々から味覚異常のマヨラーだったが最近はストレスからかますますマヨラー度に磨きがかかっている。
これはどうにかしないと食堂で一緒に飯を食う隊士達がかわいそうだ。
土方が飛んでいった庭から「山崎ィイ~!」とジミーを呼ぶ声が聞こえてくる。
きっとマヨネーズを買いに行かされるのだろう。
監察なのにパシリ。かわいそうに・・・・。
とりあえず今度、土方の隊服に携帯用のマヨネーズでも入れておくか・・。
そんなことを考えながら俺は沖田君に土方のマヨネーズに細工をするための激辛製品でも借りてこようと踵を返した。
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